食品企業の震災復旧、大手・中小に差異

 食品産業センターは農水省補助事業の6次産業化構造調査の一環として実施した「東日本大震災による食品産業構造への影響等」の調査結果を公表した。会員企業を含む食品メーカー1048社に昨年12月、郵送でアンケート調査し、226社(大手40社、中小186社)から回答を得た。
 震災による影響(原発事故を含む)があったのは72%で、現在の状況(複数回答)は「震災で原料、包装資材、燃料の調達に支障があったが、解消している」が55%、「建物、設備の損害があったが、既に全て復旧」が41%と回復を示す回答が上位を占めた。
 一方で「原発事故で風評被害を受け、販売が低迷している」が16%、「海外への輸出が減少またはできなくなっている」が12%。
 「全て復旧した」とする企業は大手で80%だったが、中小では28%と低い水準となった。
 震災からの復旧、復興に向けた問題の有無は、42%が「ある」(大手33%、中小46%)と回答。具体的には、(1)震災前の借入とリース残高が二重ローンとなり、資金繰りのひっ迫で機械などの設備を思うように揃えられない(2)製品・原材料・製造施設などで放射性物質検査費用が発生。一部販売先で放射性物質検査したものでないと受け入れられない(3)海外(韓国、中国)向けの輸出が風評被害で減少しているが、有効な解決策がない(4)資材調達が完全回復していない。原料産地の確認の問い合わせが多発し、業務に支障あり、など。
 東電・東北電力の供給区域内で、昨年夏に実施したピーク電力削減は「照明・空調・エレベーターの間引き、消灯・停止等」「夜間・早朝操業等の勤務時間のシフト」「自家発電、蓄電池等の導入・活用」「輪番休業、土日の活用、夏季休暇の大型化、分散化等の休日、休暇のシフト」が上位を占めた。
 BCP(事業継続計画)は「あり」が29%。しかし大手は88%だったが、中小は16%にとどまった。