前浜の生サバ原料を生かす
宝幸 八戸工場 ＜上＞
缶詰の生産量が全国的に伸び悩む中、宝幸の八戸工場（青森県八戸市、木村康一工場長）は前年比10％ペースで増産を続けている。
宝幸八戸工場
缶詰・びん詰･レトルト食品を生産する同工場は1986年（昭和61年）に稼働。敷地面積１万1322�屐�建物の延床面積は5073�屐�生産品目はサバ、サンマ、サケ、タラバガニ、ズワイガニ、ホタテ貝といった水産缶詰を中心に、瓶詰のサケフレーク、鶏そぼろ、さらに業務用レトルトパック（サケ、ズワイ、ホタテフレーク）など。
生産規模は年間5000ｔ（56万ケース）。従業員は製造65人、品質管理５人、事務５人の計75人。
八戸魚市場のセリ入札権有する
同工場は八戸市魚市場の買受人としてセリの入札権を持っており、全国屈指の水揚量を誇る八戸港の前浜物を活用しているのが特徴。
生産アイテムは180に上るが、商品は半分がサバ（ほかズワイガニ35％、ホタテ５％、その他10％）で、前浜に近い地の利を生かし、差別化を図ってきた。
同社の缶詰商品のうち３分の１を八戸工場で生産。量販店のＰＢ商品を一部生産しているものの、大半は自社ブランドである。
前浜のサバを生かす
原料の主力であるサバは「八戸産」と、三陸や銚子などの「八戸以外」が半々。冷凍原料を使用する場合は解凍してから製造過程に入るが、八戸魚市場で生鮮サバを買い付けた場合はフレッシュパックできるのが強み。ただ、いわゆる“アシの早い魚”なので、製造作業は時間との勝負になる。
原料カットの後、洗浄、異物検出などを経て、肉詰機械へ。後は一般の水産缶詰と同様に重量調整、調味液を充填し、巻締、加熱加圧殺菌、冷却工程から製造年月日の印字、箱詰めとなる。
木村康一工場長
ノンフローズンの生サバを使用した商品は缶に「国内産生原料使用」と明記している。
現在、宝幸のサバ缶の３分の１は生サバを使用。脂が乗っておいしいとされる旬の時期に、八戸沖と三陸沖で獲れたサバを青森県八戸で缶詰にしている。
木村康一工場長は「原料事情で左右されるものの、できる限り生サバの比率を高めていきたい」という。