新規荷主開拓続く、センター増設へ
武蔵野ロジスティクス 埼玉物流センター
武蔵野ロジスティクス（埼玉県三芳町）は本社を兼ねる埼玉物流センターの増築工事を進めている。新規荷主の取り込みで倉庫スペースが足りなくなったため、その対応が必要となっていた。冷凍スペースは既存の2.8倍、チルド施設は1.6倍にそれぞれ拡張する。
同社は武蔵野グループの食品配送会社として、武蔵野商事配送センターの名称で埼玉県朝霞市に1977年設立。84年に現在地に本社を移転、物流センターを開設した。05年に本社を埼玉物流センターとして増改築したのに合わせ、社名を武蔵野ロジスティクスに変更した。
武蔵野グループはセブン-イレブン・ジャパン向けに弁当や米飯、サンドイッチなどを供給しており、セブンの出店拡大とともに成長を続けている。物流を担う同社も拠点を埼玉、東京、千葉、神奈川の首都圏エリアのほか、兵庫県神戸市や三木市、京都府八幡市など関西地区にも展開している。
業務用冷食の取り扱い増える
拡張した冷凍庫の出荷バース側外観
売上高は右肩上がりに伸びている。ここ数年は毎年２ケタ成長を続けており、今期も順調に推移。セブン向け配送業務の好調が要因だが、それだけではない。もう一つの柱である３ＰＬ事業もその成長を後押ししている。「３温度帯のセンター機能を充分に生かした提案を積極的に展開、３ＰＬ事業の新規案件の獲得が業績に奏功しています」と大久保敏信センター長は説明する。
同社はセブン向けの配送を担う第一営業部と、３ＰＬ事業などセブン以外の仕事を担当する第二営業部で構成。第二営業部は埼玉物流センターと、埼玉県川口市、神奈川県座間市、千葉県習志野市に設置しているが、ここ埼玉物流センターを特に主幹の拠点と位置付けている。地方に向かう便はすべてここを通過するため、行き交う車輌は他所の群を抜いている。東北や甲信越、静岡のほか、協力会社を通じて北海道にも配送している。
この第二営業部の業務が拡大している。同社全体を見てもその傾向にあるが、基幹拠点である埼玉物流センターの荷主の数は100社以上。特に業務用冷凍食品の取り扱いが増え続けており、ハンバーガーチェーンや居酒屋など外食産業から支持を得ている。「病院や福祉施設、企業向けなど産業給食の取り扱いも近年伸びています」と大久保センター長は語る。
以前まで、会社全体の売上げ構成比は第一営業部と第二営業部でほぼ半々だったが、近年は３：７の比率で推移している。
将来、交通の便さらに良くなる
新規荷主の取り込みに注力してきた同社だが、埼玉物流センターの倉庫スペースが足りなくなってきた。まだまだ新規獲得の見込みがあると判断。現在、施設の増設に着手している。
増設するに際し、まず隣接地を買収。埼玉県の産業立地促進補助金制度を活用した。補助金は、高速道路のインターチェンジから５ｋｍ以内の場所に、1000�岼幣紊療效呂如⊃靴燭烹疑涌幣紊僚抄醗�を雇用して流通加工業務などを行うことが条件。１億円を上限に不動産取得税相当額が還付される。
同物流センターは関越自動車道・所沢ＩＣから４ｋｍで、１ｋｍ以内に関越道のスマートＩＣがある。現在は乗用車専用のＩＣだが、2020年の東京五輪までには大型トラックを含めて上下線とも利用できるようになる。「周辺一帯は物流基地として、今まで以上に最適な立地になるでしょう」と大久保センター長は期待を込めている。
工事は２期に分け、１期で冷凍庫や整備工場、給油所などの移設、拡張をこのほど完了した。２期では、チルド部分をメインとした増設工事を行い、３月末に完了する見込み。これにより、敷地面積が１万�崛�え２万5000�屬法�延床面積は6800�崛�の１万4000�屬箸曚槐楞�する。
得意とする３温度帯で新規顧客獲得の最前線に立つ同センター。冷凍スペースが現状の2.8倍に相当する3770�屐▲船襯匹�1.6倍の6145�屐∩匕防�分の容積が2.3倍の５万㎥にまで拡張する。倉庫は１部２階建ての平屋となるが、平屋部分の天井高を高くするほか、ホームバースも既存の26から55に増やす。
「人材の確保が懸念事項」（大久保センター長）。今後の労働力不足をにらみ、同社で初となる自動ソーターを導入し、これまでの人海戦術からシフトする。シューター数は120本程度となる見込みという。
また、セキュリティ強化の一環として、カードで納入ドライバーの進入範囲を限定するシステムを導入。監視カメラも既存の15台から34台に増やす。障がい者雇用に対応し、エレベーターやトイレも新設する。
現場出身、より働きやすい職場へ
大久保センター長
増設の途上にある同センター。この１年はしっかりと腰を据えて、人材の確保と仕事の見直しに特に注力しているという。「本格稼働した際、物量は今までの比ではなくなるでしょう。今から万全の体制で臨みたい」と大久保センター長は気を引き締めている。
そのためには個人個人のスキルのレベルアップが必要。それがチームの力となり、会社全体の信頼に繋がると信じている。勉強会や研修会などの豊富な点がそれを裏付けている。
「仕分けの担当者も、ドライバーも各人が自分の仕事に誇りを持って取り組んでもらいたい」。大久保センター長自身がドライバー出身とあって、現場の人たちに特に気をかけている。「情熱と誇りを持って仕事に打ち込む仲間が増えることを願うばかり。そのためには私たち管理者も仲間たちがより活躍できるよう、体制づくりに注力しなければなりません」と語る。