手製の加熱槽と熱交換機で省エネに成功

 岩手農協チキンフーズの県央工場(岩手県八幡平市)は未利用の機材を使って手製で加熱槽と熱交換機を作成した。この両設備をスコルダー(湯煮機)に活用、排水からの熱回収による燃料削減に成功した。

 従来、スコルダーに鶏をつける連続工程で、1日当たり60℃の温排水を約23㎥捨てていたため、再利用を検討していた。
 手製で作成した熱交換機を設けて温排水の熱を回収し、スコルダー補給水の温度を12℃から43℃に上昇させた。従来は、補給水を直接60℃まで加熱していたが、熱回収により約30℃が賄える。これによりA重油使用量を約21kℓ削減につなげた。
 さらに二次的効果として、熱回収された温排水を屠体(羽根が剥けた状態の鶏)に散水することにより、付着した血液、糞、ゴミを除去することができたという。
 「省エネ改善コンセプトを“手作りと廃棄物利用”、“お金をかけないで知恵と汗で省エネ”とした。改善箇所の作業条件が悪い中で排熱利用を精力的に実施した」(同工場)と語っている。

未利用の機材(左)から作った手製の加熱槽(右)

未利用の機材(左)から作った手製の熱交換機(右)

細霧気化熱の冷却能力上昇、電力使用量を削減

 同工場の生鳥ホームでは、ファンのインバーター制御により電力使用量の削減にも効果を上げている。
 鶏を食肉にする屠鳥工程前の生鳥は高温環境にすると熱死するため、換気扇で冷風を送っているが、設置数が多い。そこで同社は電力使用量を削減するために対策を検討していた。
 20台のインバーターを設置し、換気扇の効率的な運転制御を実施。この二次的効果として、換気扇と併用するミスト装置は風の勢いが強すぎて気化熱による冷却効果が妨げられていたが、風量の最適化が図られたため飛躍的に冷却能力が上がった。換気扇の電力使用量の削減率は年間約50%。現場担当者が「寒い」と連発するほどの効果があったという。