谷賢一朗前社長の退任でポストを引き継ぎ9月1日から社長に就任した。もともとパー・フリーベリー前々社長が2011年に退任する際、川上氏を後任にと求められたが、当時は大学院で論文を作成していたため辞退した。今は論文も終わり、社長業に専念できるようになった。
川上社長
――どんな論文を?
川上 テーマは日本の食品メーカーの海外進出について。成功事例を分析した内容です。日本の商品をそのまま売って成功した企業もあれば、ローカライズして成功したところもあり、それぞれどのようなステップを経て成功したかを分析しました。
――仕事に役立った?
川上 機械のセールスだけではなく、多角的に見られますし、経営のサジェスチョンもでき、役に立っています。
――抱負は?
川上 当社のフリーザーは、世界的にはマーケットで50%以上のシェアを占めていますが、日本では外資のデメリットもあってそこまではいかない。ただ、当社だけにしか提案できない価値はあります。それを伝えていきたい。
――具体的には?
川上 冷凍効率、洗浄性、衛生面の優位性です。特に洗浄性については、日本では初めて蒸気殺菌が可能なスパイラルフリーザーを納入します。来年から稼働します。
――衛生面では日本製が優れていると思っていた。
川上 蒸気殺菌はアメリカで6年前から使われています。今ではアメリカで年間に販売する中の3割が蒸気殺菌です。中国とオーストラリアでも実績があります。段積み式スパイラルなのでCIP洗浄もしやすい。蒸気殺菌はCIPで汚れをちゃんと落とせないと、意味がない。
――円安は外資の弱点だ。
川上 対スウェーデンクローネなので、対ドルほどの為替差はないものの、確かに円安の影響はあります。納入まで時間がかかるのも弱点です。フリーザーを作る速さは同じでも、輸送に1カ月半かかります。あとはサービス体制です。リソースが限られているので、全国的に協力会社を増やしたいと考えています。
――今期の実績は?
川上 今年は厳しいですが、昨年は忙しくて手が回らなかったほどで、波があります。このような傾向も是正したい。ここにきて来年度の受注は好調です。
(かわかみ・しんいち)宇都宮生まれ。大学の専攻は英文科。当時から海外で仕事を希望し、地元のレオン自動機に就職、9年間カリフォルニア州のレオンUSAに勤務。2008年7月転職。今年51歳。