特殊製法の保冷剤、店内冷凍庫で凍結可能に
専用設備が不要、電気代を削減

コンビニではアイスのオープンストッカーにアイスエナ
ジー(−18℃)を投入し、24時間内に完全凍結するか
検証した

 保冷剤を製造するアトム技研(名古屋市、水野茂社長)は保冷材を1℃の温度差で凍結する特殊低温保冷剤「ICE ENERGY(アイスエナジー)」をこのほど開発した。

 たとえば−20℃の保冷剤を凍結させるのに、従来は−30〜−40℃の冷凍設備が必要だったが、「ICE ENERGY」は−21℃の低温環境で完全に凍結する。スーパーやコンビニ店内にある一般的なアイス冷凍庫で凍結できるため、専用設備にかかる維持費が不要になり、電気代を削減する。

 保冷材の温度(融点)と凍結に必要な温度の差がわずか1℃であることに加え、通常使用するゲル化剤を使わなくても、保冷材の温度を長時間キープできることが大きな特長。 

 原料は安全性に配慮して食品添加物だけを使用しているが、この食品添加物の種類と配合がポイントになる。そのうえで「1℃差で凍結するよう、(個体が液体に変わる際の)融解熱と(塩が水に溶ける際の)溶解熱の最適値を割り出した」(同社)という。特許取得済み。

 同社が行った商品テストでは、−18℃の保冷剤を完全凍結するのに、同社の保冷剤は−19℃で21時間30分だったのに対し、他社製品は−21℃で25時間40分を要するなど、凍結するまでの時間は他社製品より17%短く、保冷維持時間は30%長いことが実証された。

深夜の置き配など用途は広い

   ハードケース

 コンビニでは人手不足から商品が店に届いても、すぐに陳列できないことが多い。そこで商品が入ったシッパー(保冷箱)に「ICE ENERGY」を投入して低温保持しておけば、手が空いた時に商品陳列を行うことができる。

 また、深夜に商品が配送される際は、店内に保管容器を設置して保冷剤と一緒に保管しておくことも可能。災害時の停電対応や冷蔵設備の故障時に利用することなども想定できる。いずれもオープンストッカーなど店内の既存設備で保冷剤が作れるため、コスト面や使い勝手の良さによるメリットは大きい。

 同社によればドライアイスの代替品として注目され、すでに多くの企業から相談が寄せられているという。日本国内のドライアイス市場は需給タイトな状況が続いており、世界規模では地球環境保護の観点から原料の二酸化炭素が不足している。このため「保冷剤市場は大きく伸びると予測している」(同社)。 

 「ICE ENERGY」はワンウェイのソフトケースとリユース可能なハードケースがある。温度帯は3℃、0℃、−5℃、−10℃、−18℃、−20℃、−25℃(ハードのみ)。ソフトケースは150〜410円、ハードケースは1500〜4500円(いずれも税別・送料別)。

  「ICE ENERGY」ソフトケース