20年の食品機械販売、コロナ禍でも過去最高

 日本食品機械工業会(海内栄一会長=花木工業社長)は2020年食品機械統計をこのほど公表した。食品機械の販売額は前年比2.7%増の5860億1700万円と2年ぶりに5800億円台を回復し、過去最高を記録した。

 食品機械のユーザーである食品産業の設備投資で明暗が分かれた。コロナ禍でインバウンド・外食・観光分野は需要が減少し、設備投資が抑えられた一方、バター・チーズ、精肉、冷凍食品など中食・内食需要の拡大が波及した分野は生産力増強のための設備投資が増えた。

 機種別では「肉類加工機械」が前年比10%増の287億2300万円と過去最高の売上げを達成した。精肉や食肉加工商品の需要が増え、スーパーのプロセスセンターなどで設備需要が旺盛だったことが主な要因。

 「製めん機械」も6%増の102億700万円と、3年続いた前年割れから大きく反転した。インスタント麺の消費量が拡大し、ライン増設や新規の設備投資が増えたためとみられる。

 「乳製品加工機械」は7%増の688億5800万円、「水産加工機械」は3.8%増の177億4300万円、冷凍食品や野菜加工、調味料関連の「その他の食品機械」は4.2%増の2612億2700万円といずれも好調に推移した。

 「水産加工機械」は巣ごもりの長期化で健康意識が高まり、蒲鉾などの水産加工品が良質なたんぱく質として再評価されたことで消費量が増加し、設備需要を喚起した。

 一方で、「製パン・製菓機械」は2%減の1330億8600万円と2年続けて前年を割った。パンの需要は堅調だったが、インバウンド需要の蒸発や観光自粛の影響で土産店を中心とした製菓分野の需要が減少した。

         食品機械の販売額推移(出典 日本食品機械工業会)