小杉直輝氏監修による「食品工場改善」

ケンコーマヨネーズの改善事例 −6− 
セルライン
ケンコーマヨネーズ(株)前田広司常務(販売本部、購買本部、海外事業本部主幹)

 生産量が少ないためラインに流せない特殊な商品がある。そうした商品は切り替えに時間がかかるばかりなので、セル生産にした。
 セル生産のいいところは簡単に切り替えられ、サニテーションにも時間がかからないことと言える。
 ただし欠点もある。
 作業者がゆっくり作業をしようと思えばマイペースでできる。そのため、標準作業を決めて時間当たりの生産量を記入するようにしている。また、1ラインではなく、必ず2ライン以上にすることで、マイペースになることを避けている。

ドレッシングのセル生産

マヨネーズのセル生産

からくり

 作業を簡単にする「からくり」を自作した。
 (1)斜めはタブーではない
 袋をシールする装置は使い易いように斜めに設置した。以前は習慣的に必ず装置と平行に設置していたが、考えてみればその必要性は全くない。

からくり(1)シール装置を斜めにした

 (2)シュリンクデキール
 ボトル商品を1本ずつシュリンクにかけるマシン。大量ラインでシュリンク包装すると、必ずミスが数本出る。そのため歩いて前工程にまで持っていき、シュリンクをし直すことになる。
 その手間を省くことができる。

からくり(2)シュリンクデキール

 (3)グルングルン
 当社で「グルングルン」と呼んでいる台車。回転しやすいようにできているので、荷物の積みつけのときに便利。

からくり(3)手前の荷物が高くなったら

クルッと回転させて積みやすい位置に

 (4)1人でフィルム装填
 包装フィルムのロールを包装機にセットする作業を補助するからくりを作った。以前は女性が2人で抱えてセットしていたが、1人でも楽にできるようになった。

からくり(4)重くて持ちにくいロールフィルムを

1人でセットできる

 (5)ボトルの昇降機
 空ボトルをラックから取り出して装置にセットする作業で、空ボトルが減ってくると、下の段の奥のほうまで手を伸ばさなくてはならなくなる。そこで、ラックの棚に昇降機能を付けた。これは作業者から大変喜ばれた。

ボトルが取りやすい高さに昇降する

 (6)装置を止めずに袋を補充
 袋に充填する装置で、袋の補充をするときは充填がストップしてしまう。そこで、充填を止めずに袋を供給できる仕組みに改造した。まず袋を押し上げる板の下に袋を補充し、そのあとに板を取り除く仕組み。

からくり(6)まだ袋が残っている段階で袋を補充し

板を抜くだけ