魚製品も加わった岩手工場
オサベフーズ(2)

 岩手工場は既存の鶏肉加工工場を譲り受けた建屋だが、内装は全て作り替えた。メンチラインと魚ラインの区別はもとより、前処理から包装まで壁で細かく仕切っている。

岩手工場のメンチライン

 工場に入って驚くのは作業員が14名という少人数でオペレーションできていること。以前は100名以上が働いていた広い工場だけに、なおさら人数が少なく感じる。まだ使っていない生産スペースや事務室もあるという。
 凍結能力は十分。スパイラルフリーザーは2基ある。時間当たり凍結能力800tのフリーザーはアマタケから工場ごと譲り受けた。さらに被災した自社工場から1基(600t)を移設し、衣付けの前後で凍結している。それ以外の、サイレントカッターなどの製造設備もほとんどが以前の設備を補修して使っている。
 今のところメンチと魚ラインを同時に稼働させることはなく、どちらか一方だけを動かしている。従業員は多能工化によりどちらのラインでも仕事ができるようにしており、しかも、岩手工場が休日となる土曜日はハンバーグの本社工場(宮城県気仙沼市)に応援にいくこともある。
 少人数ながら品質管理は十分な対策をとっており、X線検査はもちろん、金属検出器はダブルチェックしている。
 岩手工場には事務員もいない。取引先の訪問は気仙沼の本社でその都度対応しているが、工場の本格的な稼働に伴い「そろそろ事務員を配置しようと考えている」(澤常務)という。

少人数で最大の効果を

気仙沼のハンバーグライン

 昨年5月から稼働開始しているハンバーグの本社工場(気仙沼市)も多くの設備は以前からの機器を使うことができた。
 同社は以前からトレーサビリティシステムを導入しており、肉をはじめ全ての原料は入庫時に入荷日、賞味期限などの情報を入れたバーコードを発行。製品に使われた原料がいつどこからどれだけ仕入れたものかすぐにわかる体制を整えている。
 原料副資材の計量段階では自動的に指示書を発行することで間違いをなくし、原料の在庫量もわかるようにしている。
 製品は縦ピロー包装した段階で情報を一貫印字。段ボール箱には製造時間・分まで印字し、バーコードと共に製造履歴がわかる仕組みにしている。
 機器の運転状況を自動監視するシステムも導入しており、異常があればすぐに生産をストップすることができる。工場内には監視カメラも設置している。
 岩手工場もそうだが、あえてフル稼働を追求しない。設備の能力いっぱいに稼働させるより、必要なものを必要な時に必要なだけ作るほうが、実はムダがなく、人時生産性が高まるということを、証明している工場と言える。
 震災前は3工場で110名が生産に従事していたが、現在は2工場を45名でオペレーションできている。
 生産量は、ハンバーグが月に350tほどあったが、現在は190t前後。以前は150t規模だったメンチはまだ岩手工場が立ち上がったばかりなので量は少ないが、新たに魚製品が加わったことで将来への期待は大きい。

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