アニサキス死滅を立証、−20℃到達までわずか25分

 特殊冷凍技術を使った冷凍加工のソリューション事業を展開するデイブレイク(東京都港区、木下昌之社長)は自社開発の特殊冷凍機「アートロックフリーザー」を使ってアニサキスが完全に死滅することを検査機関で立証した。ポイントは一般的な業務用冷凍庫に比べて、より速く安定したアニサキス対策を実現できること。科学的根拠に基づいたアニサキス処理のオペレーションを自社メディア「春夏秋凍」で公開している。

 厚生労働省はアニサキスによる食中毒予防のために−20℃以下で24時間以上冷凍するよう呼びかけている。「アートロックフリーザー」はこの−20℃に到達する時間が圧倒的に早く、所要時間はわずか25分。比較検証に使った一般的な業務用冷凍庫は6時間(360分)かかっており、10倍以上の開きがある。

 今回の検査ではアニサキスが寄生した生サバの身を「アートロックフリーザー」で25分間特殊冷凍し、芯温が−20℃以下になったのを確認してから−24℃設定の業務用冷凍庫で24時間保管した。24時間経過後は冷蔵庫へ移して保管した。その後の検査結果ではアニサキスはすべて死滅していた。12時間・24時間後にも顕微鏡で観察したが運動性は確認されなかった。検査機関はエフティーピー化学研究所。

特殊冷凍前のサバ、赤丸がアニサキス幼虫、アニサキス食中毒はこの10年間で34倍に増え
ているという

   特殊冷凍後のサバ、赤丸がアニサキス幼虫、すべて死滅していたことを確認した

家庭用冷凍庫では死滅基準を満たせない

 アニサキス死滅の検証と併せて実施した、「アートロックフリーザー」と一般的な業務用冷凍庫(2社)との比較試験では、2社とも−20℃に到達するのに6時間を要した。また、1社の業務用冷凍庫は−20℃に到達した後、デフロスト(霜取り)による庫内の温度上昇が数時間おきに見られた。

 こうした結果から、デイブレイクは「一般的な業務用冷凍庫や家庭用冷凍庫とも緩慢冷凍の場合、冷凍庫の対応温度や環境によって、48時間冷凍しても厚労省のアニサキス死滅基準に到達しない場合があることが明らかになった」と結論付けた。

 一方、特殊冷凍はアニサキス対策に有効とし、冷凍による品質劣化もきわめて少ないとアピールする。

 特殊冷凍技術を導入した漁師料理店のばんや(千葉県九十九里町)では生魚を特殊冷凍処理するようになってからアニサキス食中毒の発生件数はゼロを維持している。保健所の指導が入ることもあったが、実際のオペレーションを伝えると、チェックを問題なくクリアできたという。

 「食中毒対策のほかにも、魚の仕入れが少ない時に冷凍ストックしておいた魚を使用することで、人気メニューを安定して提供できる」とコメントしている。

  特殊冷凍を一部使用した刺身盛り合わせ、新鮮な味わいや見た目は生と変わらない