【年頭所感】
厨房のHACCP対応を支援
日本厨房工業会 谷口一郎会長

    谷口会長

 昨年を振り返ると、日本経済は内閣府の景気動向指数が一時悪化を示すことなどに加え、増税の影響にも懸念があったが、所得環境の回復や、企業の設備投資などにけん引されて、底堅い推移となった。

 このような中で、第19回厨房設備機器展では、来場者数が6万7000名を超え、「厨房からのイノベーション」を掲げたセミナー参加者も前年に続いて1000名を超える盛況となった。
人材不足への対応の一助となるべく、効果的な人材採用を目的としたセミナーも新たに開催した。

 日本食レストラン海外普及推進機構(JRO)と共催したキッチンマネジメントセミナーの講演、実演も好評を得ており、業界内で働く女性のロールモデル、ネットワーク形成をめざした厨房女子会も回を重ねている。

 今年2月に開催する第20回厨房設備機器展は、開催場所を幕張メッセ(千葉県)に移して行う。厨房は、建物の中で、人・モノ・エネルギーの流れがすべて集中する重要な場所であり、食文化の発展を担う発信拠点でもある。「快適・省エネ・省力化。ニッポン厨房最前線」をテーマに、より一層皆さまの事業課題に寄与できるものと考えている。

 食の安全・安心については当工業会の最重要課題であり、食品衛生法の改正により2020年6月から制度化され、猶予期間を含めても1年余りとなったHACCPへの対応をはじめとした情報発信を行っていく。逼迫(ひっぱく)した人材不足への対応として、引き続き人事担当者向けセミナーを開催すると共に、企業活動のPR方法など、業界の認知度向上につながる広報担当者向けの講演会にも取り組む。

 昨年は、史上最大級の台風19号をはじめとした自然災害が、生活や産業へ大きな影響を及ぼした。災害時には食が人々を支える重要な役割を果たすとの認識が広がってきており、当工業会のネットワークを活用した災害時への対応も、今後の課題の一つと考え取り組んでいく。