紙製の完全密封トレー開発、MAP包装にも対応

 凸版印刷は特殊な構造によって高い密封性を実現した電子レンジ対応の紙製一次容器「ピタッと紙トレー」を開発した。これまで紙トレーでは難しかった、水分を多く含むチルド食品や冷凍食品の紙容器として使用できる。

 容器の内側に独自開発のバリアフィルムを使うことでガス置換包装(MAP)にも対応でき、賞味期限延長によるフードロス削減に貢献する。サンプル出荷をこのほど開始した。本格的な販売は2023年春を予定している。

 プラスチックのごみ問題を背景に、チルド惣菜や冷凍食品でも環境に配慮した密封容器のニーズが高まっている。「ピタッと紙トレー」は、同じサイズのポリプロピレン製プラスチックトレーを使用した商品と比較した場合、プラ使用量を約90%削減できるほか、包材の製造時に排出するCO2量も約49%の削減が可能という。

            「ピタッと紙トレー」のサンプルイメージ

 今回の紙トレーは一次容器でありながら紙のふた材や容器本体に印刷できるため、内容物や使用法を表示するための二次包装が不要になる。基材の紙素材には森林認証紙を使用することもできる。

 容器の内面に使用する積層フィルムはノンバリアから「バリアシーラント」を使ったセミバリア、独自素材の「GL BARRIER」を使ったハイバリアまでニーズに合わせて仕様を変えることができ、冷凍食品の電子レンジ加熱やチルド食品のMAP包装に対応する。

 製函納入が可能なこともポイント。製函機の設備導入が不要で、封函は専用のシールヘッドを使えば一般的なトレーシーラーでも対応でき、初期投資を抑えられる。

 凸版印刷は本格販売する2023年度に関連受注を含めて売上げ約3億円をめざす。