日本最大級、富士山麓でサーモン陸上養殖
初出荷は2024年半ば、年間6300万ｔを生産
ノルウェーのプロキシマーシーフード社（ヨアキム・ニールセンＣＥＯ）は、静岡県駿東郡小山町にある大和ハウス工業所有の工業団地内に、日本最大級のアトランティックサーモンの閉鎖循環式陸上養殖施設を建設する。投資額は約170億円。４月26日着工し、2023年６月末竣工予定。初出荷は24年半ばの見込み。年間約6300ｔ（ラウンドベース）のサーモンを生産する。将来的には、アジア諸国への輸出も視野に入れている。
サーモン陸上養殖施設の外観イメージ
養殖施設は、富士山のまさに麓にある大和ハウス工業所有の工業団地「D―Project Industry富士小山�機廖別�36万�屐砲裡蔚莢茲坊�設される。敷地面積は約５万7000�屐△里拆果明冖鵤暇�8000�屐陛換�造・一部２階建て）の閉鎖循環式養殖施設。
プロキシマーシーフード社は日本での陸上養殖事業を展開するために2015年に設立された会社。18年に小山町を建設地と決め、大和ハウス工業を施工会社として選定した。
ヨアキムＣＥＯは４月26日開催した記者発表会で「６年にわたる準備期間を経て、ようやく夢がかなった。富士山の湧水で育った、より鮮度の良いサーモンを日本の顧客へ提供することができる。消費地に近い場所で生産することで、二酸化炭素排出量を削減できる。環境への配慮を重視した持続可能な養殖事業がすべての基礎となる」と説明した。
敷地内には、ふ化・稚魚育成施設と成魚育成施設、加工場を設置。閉鎖型施設であるため、外界から完全に隔離されており、稚魚育成施設と成育施設はパイプでつながっている。すべての廃棄物は環境に影響を与えないよう安全に処理して排出する。
陸上養殖施設内部イメージ、ふ化・稚魚育成施設と成魚育成施設、加工場を設置する
約２万ｔ増産計画も、24年着工めざす
ふ化から出荷サイズ（約５�圈砲砲覆襪泙婆�22カ月。水揚げ当日に、施設内の加工場で処理してから出荷するため、「鮮度抜群の最高品質のサーモンを提供できる」（ヨアキムＣＥＯ）。約30人を雇用する計画。
同施設は、関東圏や中京圏にアクセスしやすい好立地にある。2023年度には新東名高速道路「小山スマートインターチェンジ（仮称）」が約３�厠イ譴疹貊蠅某契澆気譴詬縦蝓�
同社は第２段階として、約２万ｔ（ラウンドベース）を増産する施設の建設も検討している。「第２段階の施設は、2024年に着工したい」（ヨアキムＣＥＯ）としている。
会見の様子（左から大和ハウス工業の浦川取締役、ニーハマル駐日大使、池谷町長、画面内が
ニールセンＣＥＯ）
小山町の付加価値を高める施設
４月26日開催した地鎮祭後の記者発表会には、インガＭ.Ｗ.ニーハマル駐日ノルウェー王国大使や池谷晴一小山町長、大和ハウス工業の浦川竜哉取締役常務執行役員が出席。ヨアキムＣＥＯらプロキシマーシーフード社の関係者はオンラインで出席した。
ニーハマル大使は「安全、健康で環境に配慮した食品の生産が求められる中、持続可能でない食品は将来的になくなる可能性がある。日本・ノルウェー両国の連携により今回の取り組みは始まった。新たな挑戦が始まったことをうれしく思う」とあいさつした。
池谷町長は「富士山麓の湧水で育てる当施設は、地域の付加価値を高め、魅力ある町づくりにつながる。新しい時代の核となる施設で、小山町や静岡県、日本のにぎわい創出になることを期待している」と語った。
浦川常務は「今回の施設は、小山町の発展の礎になると確信している。当社では国内27カ所、約500万�屬旅�業団地を現在開発している。陸上養殖施設を含む食品関連施設の誘致を積極的に進めたい」と語った。
会見前に実施された地鎮祭の様子