山梨でＡＩ活用のサーモン陸上養殖
県知事らと地域活性化協定を締結
（左から）小林千尋町長、長崎幸太郎県知事、
牛島祐之社長、新野哲二郎社長、小林毅社長
ＮＥＣネッツエスアイ（東京都文京区、牛島祐之社長）、ＮＥＳＩＣ陸上養殖（山梨県、新野哲二郎社長）は、山梨県南都留郡西桂町にサーモンの陸上養殖施設「富士・桂川ファクトリー」を建設することを決定した。陸上養殖場の建設に合わせ、ＮＥＳＩＣ陸上養殖は、山梨県、西桂町、富士ピュア（山梨県南都留郡西桂町、小林毅社長）と陸上養殖を核とした地域産業振興や雇用機会拡大に連携・協力して取り組むことを趣旨とする協定を10月31日締結した。
豊富な富士山の伏流水を活用
施設は2020年６月に着工し、21年９月に完成予定。100ｇサイズの稚魚を３�堋�度の出荷サイズに育成し、22年に初出荷する。
西桂町は、富士山北麓の桂川流域に位置し、富士山の伏流水による豊富な水資源に恵まれている。中央自動車道とのアクセスも良く、交通の利便性が高い。締結式では山梨県の長崎幸太郎知事が「県の内水面養殖業に新たな活力をもたらす」と期待。西桂町の小林千尋町長も「陸上養殖を核とした産業・地域振興に積極的に取り組みたい」との意向を示した。
養殖魚種はトラウトサーモン（ニジマス）。サーモンは、日本の水産市場で人気が高いが、国内消費における国産品の割合は３分の１程度。輸入に大きく依存している。
安心安全なサーモンを安定供給
富士・桂川ファクトリーは、最新の陸上養殖技術とＮＥＣネッツエスアイのＩＣＴ／デジタル技術を融合することで、安心・安全で高品質なサーモンを生産する。
ＡＩを活用した魚の体長・体重測定自動化や水温・酸素量・給餌等の自動制御など、工業的な生産プロセスによるコスト低減や年間を通じた安定的な供給、ＩＣＴ/デジタル技術を活用したトレーサビリティによる品質確保、遠隔監視・制御による管理負荷の軽減など、養殖業の高度化を実現する。
ＮＥＳＩＣ陸上養殖の新野社長は「事業を通じて地域活性化に貢献できる。日本の魚食文化の中で一定の役割を果たしたい」と述べ、富士ピュアの小林社長も「ミネラルウォーターの会社だが、良質で豊かな水を活用し、サーモン養殖を第２の主軸事業にしたい」と意欲を示した。
陸上養殖施設の完成予想図