世界トップの２軸押出機、代替肉市場で活躍
プラスチックや食品の製造加工に使用される２軸押出機で世界シェアトップのｃｏｐｅｒｉｏｎ（コペリオン、本社ドイツ）はプラントベースの代替肉市場でも存在感を高めている。食品用の主力機種「ＺＳＫ ＭＥＧＡ Ｖｏｌｕｍｅ」シリーズが欧米の代替肉の製造現場で活躍し始めた。
日本国内ではグループ子会社のコペリオン��（横浜市、塚��豊社長）が食品メーカーなどに提案を強化している。今年春には１台でドライタイプとウェットタイプの代替肉を製造できる業界初のハイブリッド型「ＺＳＫ Ｆｏｏｄ ｅｘｔｒｕｄｅｒｓ」を発売開始した。
塚��社長は「当社の２軸押出機は連続式で生産性が高く、運転条件のパラメーターを一度設定すれば同じ品質を維持できる。日本国内でも代替肉の関心が高まっており、市場開拓に本腰を入れたい」と語る。
ハイブリッド型の２軸押出機に取り付けた冷却ダイから吐出されるウェットタイプの代替肉
世界トレンドは高含水のウェットタイプ
プラントベースの代替肉には水分含有量が低いドライタイプと含水率が最大80％にもなるウェットタイプがある。２軸押出機による代替肉の製造工程は植物性のたんぱく質原料を投入し、水を注入した後、高温で熱しながら２軸スクリューで高速回転して混錬するが、後工程がドライタイプとウェットタイプでは異なる。
ドライタイプの場合、吐出口から押し出された製品はペレタイザーでカットし、乾燥機で乾燥する。食品に使用する際は水や調味料に浸して戻す必要がある。多くは肉類加工食品である肉まんやハンバーグなどの具材に使う。
一方、ウェットタイプは冷却ダイと呼ぶユニット装置が冷却し繊維を形成しながら棒状に吐出する。食肉により近い食感を実現できるという。欧米ではチキンナゲットに使われ始めている。
さらにウェットタイプは水分量を上げても食肉に近い食感が得られるため、たんぱく質原料の使用量を下げて製造コストを抑える効果が期待できる。
セールスエンジニアの小和瀬邦久氏は「ウェットタイプは米国で数年前に火がつき、欧州に広がって、アジアにも波及してきた。日本国内はドライタイプが多いが、世界のトレンドはウェットタイプ」と語る。
市場変化に対応できるハイブリッド型
コペリオンが今回開発したハイブリッド型の新製品は、１台でドライタイプとウェットタイプの段取り替えを容易にする。これまではペレタイザーと冷却ダイが機械にそれぞれ固定接続され、切り替えができなかったが、ハイブリッド型はアダプター式に変更し、約30分で簡単に切り替えられるようにした。市場の変化に合わせて柔軟に素早く生産対応できる。生産能力はドライタイプで１時間あたり最大３tと高い。
日本法人のコペリオンは機械の販売だけでなく、顧客の商品開発もサポートする。食感をどうするか、コアターゲットをどこに置くかなどをヒアリングし、ドイツ本社でテストを繰り返す。専門のエンジニアリングチームがバックアップする。
馬場健次営業部長は「コペリオングループは２軸押出機メーカーとして世界で最も歴史が古く、これまで培ってきたノウハウや実績は他社より圧倒的に多い。この強みを生かし、顧客の要望に応えたい」と語る。