日本政策金融公庫(日本公庫)農林水産事業は海外展開意向を持つ全国の農業経営者、食品関連企業に、海外展開の現状と今後の見通しについて調査した。
既に輸出に取り組んでいる先の過半数(56.0%)で、輸出商品が国内商品以上の利益率を確保していることがわかった。
輸出商品は通常の生産コストに加え、輸出時の輸送コスト、手数料など様々なコストがかかるが、輸出商品が国内商品以上の利益率を確保しているという結果は、日本の食品に対する海外での評価が高く、高価格で商品販売ができ、利益率増大につながることを示している。
全売上げに占める海外部門の割合について、現状と5年後の目標を調査したところ、現状では海外部門の割合が6%以上は24.4%と現時点での海外部門の全事業に対する売上げ貢献度は限られている。しかし、5年後には「6%以上」と増加を見込む割合は51.0%となり、今後の海外展開に強い意欲を見せている。
現在「海外展開している」、または今後「海外展開したい」地域は「香港・台湾」(63.7%)が最も多く、次いで「シンガポール・ASEAN(東南アジア諸国連合)」(62.4%)。この結果を海外展開形態別に区分すると「輸出のみ」の形態では「香港・台湾」、「現地事業展開のみ」の形態では「シンガポール・ASEAN諸国」が最上位で、東南アジア方面に対する現地事業展開意欲の高さがうかがえた。
2012年度以降に実施した農業景況調査、食品産業動向調査などで「現在海外展開を実施している」、「今後海外展開の実施を検討している」と回答した農業経営者440・製造業、卸売業、小売業、飲食業の食品関連企業740先の計1180を対象に調査した。有効回収数は614。往復はがきによる郵送アンケート調査で今年6月〜7月に実施した。